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映画【エンド・オブ・ウォッチ】 感想


公開:2012年
監督:デヴィッド・エアー


リアルなロサンゼルス市警の仕事ぶりを描いたほぼドキュメンタリーのような映画です。
全編POVの仕様になっていて警官の気分になったような臨場感を味わえます。

そして、主人公の警官たちであるブライアンとザヴァラの絆を描いたバディムービーでもあります。


冒頭、いきなり派手なチェイスシーンから始まり車両を追い込むと突然銃撃戦が行われます。
この決着が速い銃撃戦ってリアルでいいですよね。


それから、彼らは署に戻って同僚たちと気の抜けたやりとりをしています。
ここで、警官たちも人間なんだという実感がわき愛着を持ちました。


とくに、ザヴァラさんのキャラはめちゃくちゃ良いですね。
いかついヒスパニックで、格好次第では悪の組織側でもおかしくない気がするのですが、(すみません)ふとした時の表情やブライアンとの会話シーンを見ると気のいい熱血漢だとわかります。


そして、ブライアンもちゃっかり自分たちの仕事ぶりを録画するお茶目な人物ですね。

そして意外にも、彼はザヴァラに主導されて事態に突っ込んでいくシチュエーションが多い気もします。
ブライアンの方が、ザヴァラよりもやや冷静で、正義感という意味では弱いのかもしれません。

このように、2人が組んだら最強で、この協力プレイで多くの人の命を救っていました。



そして、やはりその二人を待ち受ける現場のあまりの過酷さに辟易してしまいます。


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日本の警察24時よりも緊迫感が桁外れなのは、当然ながら相手も銃を持っているからですよね。
改めて銃社会の恐ろしさを痛感しました。

ただ、序盤でザヴァラが黒人とタイマンで決着をつけようとするところは清々しいけど同時に笑いが込み上げてくる良いシーンだったなあ。

警察官が黒人に対して不当に射殺や暴行をする事件が多発した今だからこそ、特にこの場面は感慨深いですね。


そして、警察官が人一倍強い正義感を持っているというのは本当に尊いことだと思いました。
しかも、その正義感は復讐のためや愛する家族を守るためではない、ただ目の前で困っている人を助けたいという内なる衝動ですよね。
この、やや非物語的な2人の人物像が映画にリアリティをもたせ、その正義感は尊いものだと思わせます。


ブライアンとザヴァラは、アメリカ人的な価値観からするとある意味薄情な面を持っているのかもしれません。

火災現場に飛び込んで中にいる幼子を見事に救った後、その行動を妻たちに叱られます。
(この救出シーンは本当に息が詰まるような切迫感があって苦しかったです)

多くの映画では、アメリカ人は家族第一が揺るぎなく、ある意味利己的な習性をもつ人物が多いイメージがあります。
彼らは、他人の命と自分や家族の命の間には多少なりとも扱いに差をつけます。


だから、妻たちは夫たちにもっと自分の命を大切にしてほしいと感じたのだと思います。


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しかし、この二人は確かに家族愛を持っていますが、それ以上に強い隣人愛と自己犠牲的な精神を持っているように見えます。

隣人愛と言ってしまいましたが、そこに宗教や人種は関係ないです。
そういう宗教的な教えに縛られていないところはむしろ日本人に近い気もします。


ある意味“異端”な二人は妻たちの願いを跳ね返して、常に自分の身を投げ打ってまで他人を救おうとするのでした。



私たちが毎日平和に過ごせているのも、誰かがこの世の正義や秩序のために毎日戦ってくれているからなのかもしれません。

そんな、名前も知らない”誰か”に強く感謝したくなるような映画です。



読んでいただきありがとうございました!