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映画【悪の法則】 感想

作品名:「悪の法則」

公開:2013年

監督:リドリー・スコット

 

 

非常に豪華なキャストで映像も美しいですが、映画内でのあまりの説明の少なさにビビります。(この役者陣につられた私は面食らいました笑)

 

 

冒頭、弁護士とその恋人ローラがいちゃつく場面から始まり、その後彼がローラに結婚指輪を贈ろうとしていることが示されます。弁護士さんは少し欲をかいて、やや身分不相応なダイヤモンドを購入します。そのかわりに、麻薬取引に出資して儲けようとしました。

 

おそらく、ここが終盤で言われた「選択はずっと前に行われた」その地点かもしれません。

しかし、これはあくまで我々観客の視点からはそう見えるだけで、彼はそれまでの人生で徐々にあの道に近づく選択をずっと重ねてきたのだと思います。

そう考えると、どこから悔やめばいいのかわかりませんね。

 

 

裏社会に片足を突っ込んだ後でも、ブローカーのウェストリーは弁護士さんに何度も警告しました。しかし、完全に油断している弁護士。

悪友である実業家ライナーとの会話も「わからない」「知らない」のオンパレードで、彼らがいかに麻薬取引の実態を知らずにビジネスを始めたかがわかります。

 

かたや、ローラはライナーの愛人マルキナと優雅にプールサイドでお喋り中。マルキナはローラの身に着けているダイヤモンドの指輪に興味津々ですが、それは一般的な女性の興味の持ち方と全く違いましたね。

彼女はローラがそのダイヤモンドの”価値”に直結する情報を何一つ知らない、とわかるとびっくりしていました。

 

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この映画では「知らない」というセリフが多々登場しますが、その言葉を発するほどその人物の死亡フラグが立っている気がします。

(しかし、”知っていそう”なウェストリーさえも殺されたのは、この世界はフラグ通りに進むような単純な世界ではないと警告されているようで恐ろしいですね)

 

 

そして、序盤で弁護士とローラはパーティー中?に弁護士の昔の顧客と思われる男性に絡まれます。彼が言うには、弁護士さんは「平気で人を踏みつけにするヤツ」だそうです。

事の顛末から考えると、この発言はあながち間違っていないものになります。

ローラは弁護士さんが始めた麻薬ビジネスの人質にされ、その結果残虐に殺されました。しかし、当の弁護士は生き残りました。

彼は、以前からそのような無意識的に人を犠牲にする行動や選択をする習性があったのかもしれません。

個人的な願望ですが、私は弁護士さんが今回の過ちでも懲りず、行く先々で周囲の人を無意識に人質にし犠牲にしていく逃避行のストーリーを見てみたいと思いました

 

 

ラストでマルキナが言った「臆病者ほど残酷よ」という言葉は、この弁護士さんのことを指している気がします。

おそらく、自分のした行動や選択による対価を意識してない連中は、ある意味彼女にとっては恐るべき存在なのかもしれません。

 

 

 

 

そして、ウェストリーを殺害し彼の資産を奪った後、マルキナがハニトラのため雇った女性に報酬を渡そうとするが断られるシーンがあります。

 

その際、マルキナ「あてになるからアメリカ女は大好き」と言い放ちます。

この言葉の真意はわかりません。

ただ、人間は倫理感や罪悪感、羞恥心を持っているため欲望のまま生きることは憚られます。

そのような理性の結果生まれた過ちや疑いを素早く嗅ぎ付ることで、マルキナは他人の富を吸い尽くし自分のものとします。

 

アメリカ人の女性が際立ってそうなのかわかりませんが、宗教観だったり、エリートやセレブとして振る舞うことに対する意識がほかの民族よりも強いのですかね?

(それとも、単にマルキナの仕事仲間のアメリカ女は裏切るような人が少なかったから?)

人間的な感覚が強ければ強い人ほどマルキナにとっては良いカモなのかもしれません。

 

 

 

弁護士さんは恋人を救おうと奔走しますが、時すでに遅し。メキシコ人の男性からもう戻れない場所にいると宣告されます。そして今にも泣きそうな弁護士さんに対し

悲しみでは何も買えない、それは悲しみに価値がつけられないからだ

と言います。

 

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私は、たまに殺人よりも過失致死の方が恐ろしいと感じることがあるのです。

殺す側だとしたら、自分の無意識の判断が巡り巡って誰かの命を奪うことにつながる可能性があると考えるだけで怖いです。

そこには悪気や企みなど無く、存在するのは単純な物理的な”法則”のみでそれにのっとった結果が訪れるだけです。

逆の立場でも、人からの憎悪や八つ当たりよりも1度作動したら止めることができない暴力装置に巻き込まれる方が怖いですよ。いくら命乞いしても無駄ですしね。

 

ルキナもその”法則”を利用しているだけで、より切れ者の”利用者”が現れたら彼女も先手をとられ殺されるなんてこともありえますよね。

(そんな展開もぜひ見てみたかった!)

 

そういった”法則”が厳然と世界に流れ続けていることを思い出させる、現代人に対する警告そのものみたいな映画でした。

 

好き嫌いは分かれるみたいですが、この映画は見た後「あれは何だったのか?」と考えさせられる場面が多々あります。

それを持ち帰って自分なりに意図や意味を考えるのが映画の醍醐味ですよね。

(結論:この映画はそういう意味では最高です!!!)

 

 

 

 

正直、この映画の核心になっていそうな最後のマルキナの長セリフや、教会での神父とのやりとりの真意はよくわかりませんでした。

もし、わかる方がいらっしゃったらぜひ教えていただきたいです😢

 まだまだ意図がわからなかった箇所がたくさんあるので、再度見返していろいろ考察ができたらいいなと思います