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映画【ダンサー・イン・ザ・ダーク】 感想

 

作品名:「ダンサー・イン・ザ・ダーク

公開:2000年

監督:ラース・フォン・トリアー

 

 

言わずと知れたNo.1胸糞映画ですよね!

 

 

公開当時は、あのラストに劇場で涙を流す方が大勢いたと聞きました。(本当かな?)

しかし、多くの人が同情し泣いたのだとしたらそれは主人公セルマの目線ではなく、セルマを見てきたキャシーやジェフなどの目線になっているのだと思います。

 

セルマに感情移入しながら見ると、この映画はハッピーエンドになると考えられるからです。

 

冒頭、学校をサボった息子に一発平手打ちをかましお説教。息子ジーンに自転車を買い与えようとする流れに動揺し、「息子を甘やかさないで」と言っています。

彼女は彼女なりの美学みたいなものを持っており、もちろん断固とした子育ての方針があるようです。

盲目だからといって人に臆することなく、ガンガン自分の意見を伝え、強いプライドを持っています。

 

そうかと思えば、自分がミュージカルの空想にひたっていたせいで工場の機械を壊してしまいます。

 

そんな彼女を見守る目線に立つと、心配で居ても立っても居られなくなるのです。

 

工場の機械に挟まれて大けがしそうだな…この人集中してないし…

こんなとこ歩いてたら列車に轢かれて死んじゃうよ泣…

目が見えないのをいいことに隣人のビルに乱暴されるのではないか…

 

危険がいっぱいで、そして何よりもセルマ自身に危機感が無さそうなのが問題です。

 

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その部分が、この作品を見た人の感想に多々あるセルマに対する怒りを生んでいるのです。

セルマの行動や選択には共感できない部分がたくさんあります。(そこには、彼女が盲目であるがゆえの影響は少なからずあるのかもしれない)

とくに、裁判でビルとの約束を守り真実を語らなかったシーンなんて、常人には理解できない狂いっぷりで叱りたくなりますよね笑

 

私はセルマを叱る方々はとても優しい心を持っているんだと思います。

 

セルマと、そして彼女の息子ジーンが普通の幸せな生活に戻れるようにセルマの愚かな言動を正したいと考えているからです。他人の状況を自分のことのように考える親身さを持ってないと正そうとはしませんよね。

 

 

優秀な私選弁護人を追い返してしまった後、キャシーは泣きながらセルマに怒りをぶつけます。ここから、2人は息子にとって大事なのは目か、母親かという究極の争いを始めます。

思えば、ジーンにかなり厳しく接していたのも母親である自分がいなくなってから彼が苦労しないようにするためだったのかもしれません。

もしかすると将来完全に盲目になり、息子のお荷物になって迷惑をかけることだけは避けたかったのかもしれません(私の想像ですが)

 

セルマはビルとの約束を最後まで守り、彼の名誉を守りました。

そして、周囲に息子を支えてくれそうな優しい人々がいることを確認でき、しかも息子の手術が成功したと聞かされたあと、安心したように歌いながら旅立ちます。

 

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彼女は命以外のものを何一つ失わなかったのです。

これは、彼女にとって最高の結末ではないでしょうか。

 

この映画は当然賛否両論ではありますが、私は主人公の意志を最大限に尊重し、究極の母性を描いた映画だと思いました! 見た人のその後の人生に大きな影響を与える、強い意義を持った作品の1つであることは間違いないです。